汚レ唄




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コンサートはど派手に始まり、静かに終わった。



でも、コンサートって凄い。



個人個人の1分1秒を無駄にすることなく、魅了していく。





最高のテンションで、最高のものを提供していく。


明日も明後日も、コンサート中はその最高の力を常に出していかなくてはいけないんだ。


どこかで力を抜くなんてことも出来ない。



それがプロなんだとメンタルな強さを知った。









「……帰ろっか」

まだまだ余韻に浸りたいんだろうけど、コンサートが終わり、人の波がもの凄くて、帰らざるを得ない状態だった。



麻緋は一言も話さないまま黙ってコクンと頷いた。


この人波で手を繋ぐのは自然の流れだった。


じゃないとはぐれてしまう。

って正当な理由を自分の中で繰り返して麻緋の顔色を伺うと、人に酔ったのか少し顔が青ざめているように見えた。





流されるに流され、会場から出る。


少し、周りの人との距離も出来たけれど、麻緋の顔色は曇ったままだった。





「麻緋?大丈夫??気分悪くなった??」


近くのベンチに麻緋を座らせるけれども、麻緋は一言も話そうとしない。


何?何かあったのか?




「麻緋??」

心配で心配で、だけどどうすることもできない自分が嫌だった。


もどかしくてしょうがない。





「麻緋……なんか言ってよ。俺、何かした?」

情けない。

情けなくて唇を噛みアスファルトの地面を見た。




すると、隣に座る麻緋が俺の服の裾をギュッと握ってきた。