汚レ唄



コレを着てもらってデートしたいって欲望。


じゃなくて、今日はコンサートだったっけ。


服を見ていくうちに当初の目的を忘れていた。



危ない危ない。

今日はコンサートだ。



俺は再び服の山をあさった。




「じゃあ、コレは??」

次に俺が選んだのは胸元がキュッと締まっているオレンジのキャミソールと、その上に羽織るための白の半そでパーカー。
それに膝上までのカーキ色のパンツだった。



夏らしくて、パンツ姿だから動きやすいし、コンサート行ってもおかしくはないと思う。



って俺、コンサート行ったことないからどんな服装の人が多いかなんてわかんないけどさ。



「とりあえずちょっと、着てきて」


また部屋を出て着替えてくる麻緋。

麻緋を待つ間に少し散らかったこの服をどうにかしないと今晩麻緋が寝られなくなっちゃうから。



俺は、麻緋の服を徹底的にたたみだした。



「蒼〜?どう??」

「ん?いいじゃん」



ドアのすぐ傍にたって、コチラを恥ずかしげに見てくる麻緋がとっても可愛く見えた。



それによく似合ってる。


露出も控えたし、変な奴らに絡まれる心配は3割減した。



「この服だと、髪を全体的にアップにしたほうがいいな」


全体的に元気なイメージの服を選んだから、髪も全部上げてしまったほうがいいような気がする。



「麻緋?」

「ん?」



黙ってる麻緋が不安で、本当は気に入らなかったかなとか考えちゃって、顔色を伺おうと少し背中を曲げると、麻緋がいきなりコチラを見上げてきて。


いや、呼んだら顔見るのが当たり前かもしれないけれど。



そのおかげで、物凄く麻緋との距離が近くなって、ビックリした。


一瞬息をするのも忘れてしまうほどに。


麻緋もそれに気付いたのか、顔を真っ赤にして俯いた。



「麻緋?顔赤い」

「気のせいだよ」



可愛い。

ダメダメダメダメ。