「蒼〜?どう??」
「ん?いいじゃん」
蒼はベッドの上に散乱した服を丁寧に畳んでいた。
声をかけて、コチラを見るなり、蒼はパッと笑顔になる。
「この服だと、髪を全体的にアップにしたほうがいいな」
フワッと香る蒼の香り。
香水かな?
蒼はどんどん色気づいてくる。
私はそんな蒼に翻弄されていく。
急に大きくなって、急に大人びて、急に色気づいて。
私はそんな成長についていけなくて戸惑うばかり。
「麻緋?」
「ん?」
顔を上げた瞬間今までに無いくらいに胸がときめいた。
だって蒼との距離が、10センチほどで、今迄に無いくらいに近くにいたから。
……キスしちゃうかと思った。
「麻緋?顔赤い」
「気のせいだよ」
蒼の手の平が額に触れる。
「熱はないみたいだけど。風邪気味だったら早く言えよ」
なんで、今日はこんなに優しいんだろう。
なんで、今日は、いつもみたいに生意気じゃないんだろう。
「大丈夫だから」
「ならいいけど。あっ、何か雑誌にヘアアレンジとかのってない?」
蒼の瞳はキラキラと輝いていて、吸い込まれていきそうになる。
この瞳を見ているとなんでも素直になれそうな気がする。


