『バンっ!!!!』
乱暴に閉めた私が言うのもおかしいけれど、もっとゆっくり閉めたらよかった。
音が思ってたよりも大きくて耳がキーンと痛かった。
「ちぇっ」
私はそのまま自分の部屋に戻ってまたまた着ていく服と格闘していた。
ベッドの上には着ることを諦めた服が散乱している。
「また最初から考えなきゃダメじゃん」
……もう、どうじよ〜。
また少し泣きそうになっているとコンコンとドアをノックする音が響いた。
「…………はい」
小さな声で返事をするや否や、すぐに蒼が気まずそうな顔を覗かせた。
「ったく、しょうがねぇ。俺が選んでやるよ」
「蒼が?」
蒼はすかさず部屋の中に入るとベッドの上に散乱している服を見て
「きたねぇ汚ねー」
と連呼した。
「うるさいよ。今日だけだって」
服に埋もれている服を漁って、コチラに向かって投げてくる。
「麻緋は、こういう清楚なお嬢様系がいいんだって」
渡された服は真っ白のワンピースだった。
「ワンピースにこのベルト巻いて、この前買ってきたサンダルはいて……」
ワンピースを私の前であてがっては全身をチェックするように鋭く目を光らせて隅々まで確認する。
「一回着て見て」
「う、うん」
こんな蒼見たこと無い。
こんなに真剣な眼差しで全身を撫でられるように見られて、正直、私の胸はドキドキと加速していった。
蒼に言われるがまま選んでもらったワンピースを着てみる。
確かにさっきよりも私らしいかもしれない。
それに、ベルトがあることで足が長く見えるし……うん。いい。
「蒼?どう??」
蒼に服を見せると、蒼は別のコーディネートを考えているのかベッドの服を色々と合わせていた。
名前を呼ばれた蒼はドアの近くに立っている私を見ると、さっきの真剣な表情が一気に崩れていく。
くしゃくしゃに笑って、「いいじゃん」と白い歯を覗かせた。
そのギャップがまたドキッとする。
どうしたの、私。


