だけど、俺が麻緋の自由を奪っているような気がしてきて……。
もしかしたら、栗原先輩のように、相手を想って自分が辛い思いをするっていうのも究極の愛のように感じられた。
……ガキみたいに麻緋を縛り付けてる自分は、一生、栗原先輩には適わないって思った。
「諦めた方がいいのかな」
よいしょっと立ち上がり、自分の部屋に戻る。
絶えず、麻緋の歌声は聴こえてくる。
「あー!!
好きなんだよ!!
なんか文句あんのかよ!!好きだっ!!
好きだ!!
大っ好きだぁ!!
なんでダメなんだよ。
……なん、で言っちゃダメなんだよ。
こんなに好きなのに!!
こんなに大好きなのに……」
誰もいない6畳の部屋の中、自分の叫び声がこんなにも情けなく聞こえるものなのかと初めて気付いた。


