「……なんですと?」

「え?!……それ、聞き返しちゃう?」

「……いや、だって、俺。……え?」


「テンパリ過ぎだから(笑)」





ただいま、昼休み中。

のはずが……なんでか教室横にあるベランダに俺と中峰はしゃがんで話しこんでいた。


上を見上げると真っ青な空が広がっている。



「だからね?
あたしね??蒼くんのことが好きなんだよね」

「なんで俺なの??」

「私が好きなんて言ったら迷惑?」

「いやっ!決して迷惑なわけじゃないけど、
俺たちってそんなにも仲良いってわけでもないし


……だから、え〜っと」



ガシガシと頭をかくと、中峰はクスッと小さく笑い、そっと俺の手を握り締めてきた。




「ずっといいなって思ってたんだ。友達と楽しそうに笑ってる蒼くんも、体育祭で夢中に走る蒼くんも、優しく笑う蒼くんも……全部すき」



俺の顔は今、きっともの凄く赤くなっているだろう。


顔中が熱い。

中峰に握られた手も熱くて汗ばむ。




けれど、やっぱり俺は麻緋のことが好きだから。


「……その、俺は」

「あっ!いいの。返事は……その、ゆっくり考えて欲しいんだ」




俯きがちに静かに中峰は言った。

「ごめんね、いきなりこんなこと言っちゃって。返事、いつでも良いから」



中峰は立ち上がると、スカートの裾を軽くはたき、頬を赤らめて教室に戻っていった。