「ねぇ?なんでメガネかけてるの?」
子供が尋ねるように彼女は明るく、ただ単純に答えが知りたいとでも言いたげな彼女の声色。
それはクラスの奴が話しかけてくるようなバカにするような話し方ではなく、むしろ純粋な気持ちが見え、好感すら感じた。
「め、メガネは……普通、目が悪いとかけない?……かな?」
「……」
あ、あれ?返事がない。
何だか気になりチラッと前髪の隙間から彼女の表情を覗き見ると、彼女は僕のメガネを隅々まで見ていた。
「……あのー?」
「ん~?……あなたって老眼なの?」
「へっ?」
「これ、老眼用のメガネだよ?」
「…………」
なっにぃぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃい?!
今までずっとかけてきたのは、おじいちゃん、おばあちゃんのかける老眼のメガネだったのか?!
あの『近くが見えなくて』っていう老眼?!
どうりでぼやけて見えるわけだ。


