でもいいんだ。
電車から降りて、上を見ると明るいくらい多くの星がそこに存在して
そんなキラキラと輝く下に麻緋と並んで歩いている。
それだけで、胸がドキドキと高鳴り、嫌われたくないけれど、だけど大好きだから一緒にいたい。
「塾楽しかった?」
「何が?」
近所の人に2人で歩いているのを見られるのを極力嫌がる麻緋は、どんな会話もそっけなく返してくる。
「何か最近楽しそうだから」
「……そう」
「成績あがったとか?」
「んー……そう、でもないかな」
「そう……」
会話終了。
と思いきや、今日の麻緋はやっぱり機嫌が良いらしい。
「……塾じゃないかな」
「ん?」
「楽しいのは塾じゃない」
むしろ塾は神経がキリキリしちゃうなぁっとどこか遠くを眺めて呟いた。
「じゃあ学校?」
俺の質問に答えず、その代わりに鼻唄が耳を通り過ぎる。
綺麗な、透き通るようなその声色。
締め付けた胸を掴んで離そうとはしない。
「……誰の歌?」


