俺たちのつながりは空だった。
だから、俺は、悲しいときも嬉しいときも、辛かったときだって、1番に空を見上げた。
手を伸ばせば、届きそうで届かない。
そんな空と麻緋を重ねては自分の気持ちを空に吐き出した。
「……いつも言ってるけどさ」
麻緋は、俺を見るなりウンザリと言いたげに溜息をついた。
わかってる。
ほぼ毎日、こうやって大嫌いな弟が塾に迎えに来るなんて……
嫌で嫌で仕方がないんだろう。
だけど、俺はこうして一緒にいれることが嬉しくて仕方ないんだから。
「わかってるって。迎えに来なくてもいいって言いたいんだろ?1人で帰れるからって。いつも言われてることだから、さすがに覚えるよ」
苦笑。
俺は、まさしく苦笑気味に答えた。
塾から家までは電車で一駅の距離、時間にすれば10分くらいだろうか。
そんな近場なのに、わざわざ迎えに行く俺も俺でかなり麻緋への愛を示していると思うんだけど、実際、俺の愛は麻緋に届いているだろうか。
むしろ逆効果?


