塾から帰ってきて、1人で飯とか、それは寂しいだろうから。


だから、俺はいつも麻緋と一緒に飯を食うことにしている。


それが当たり前だった。



好きだと言っちゃいけない気持ちなら、俺は全力で麻緋を支える。


塾通いが大変なら、俺がその道中を癒したい。






俺たちの名前は空が関係している。


麻緋が生まれた時、初めての出産で、オロオロするしかなかった父さんが、麻緋を始めて抱っこした。


看護婦さんがぎこちない父さんに微笑んで窓の外を見るように言ったらしい。



その時の風景が綺麗過ぎて。


人が1人、この世界に生まれた……その神秘的な様子に、感動した父さんは、今までで見てきた中で1番綺麗だと感じた朝日を。




朝日という言葉を名前に託したらしい。


麻緋の名を呼ぶたびに、この世に生まれてきた喜びを感じていたいから。





そして、俺の名前は、俺が生まれた時に見えた青い空が、妙に澄んでいたらしい。


真っ青な空にふよふよと浮かぶ雲が自由で、そして、真っ青な空は誰の心にも潤いを与えるから、
だから、そんな大きくて広い……澄んだ蒼い空をみて名前をつけたらしい。