僕はよく泣いた。
泣けばいつも麻緋ちゃんが「またか」と言いたげに溜息をついた。
その顔を見て、更に泣けてきた。
泣けば、周りの人は優しくしてくれた。
泣けば、みんなが心配してくれた。
泣けば、何でも許された。
麻緋ちゃんを除いて。
みんな……。
だから、他とは違う態度の麻緋ちゃんが逆に気になった。
麻緋ちゃんならなんて言うか。
麻緋ちゃんならどうするか。
そんなことを考えるようになった。
「麻緋ちゃん?」
横になって漫画を読む麻緋ちゃんを覗き込む。
「なに?」
「あのね?今日のご飯、から揚げなんだって」
「そうなんだ」
麻緋ちゃんはそっけなく返事をして、再び漫画を読み出す。
だけど、そんなことで僕はめげない。
「だからね?いっぱいご飯食べられるように、遊びに行かない?」
「やだ」
…………。
「…………お母さぁあああああああああああん!!!!」
僕は涙を拭いながらお母さんの元へと走った。


