「最近はね、何でも王子ってつけるもんなの」

「……知ってるよ」



ちょっと待っててと靴を履いてる方の足でブランコを止めると、片足を上げて、飛ばした靴を取りにいく。


私も行かなきゃって思うのに、祐君は自分の靴を履くと、私の靴も拾って戻ってきてくれた。



そして、靴を足元に置いてから、「もう1回やる?」と意地悪な笑顔をこちらに向けてくる。


むっかぁ!!

「やる」


頬を膨らませて睨むと、ニカッと目を細めて笑う。

こんな顔をしてキミは笑うんだね。





その後、空が暗くなるまで私たちは公園で遊んだ。


靴飛ばしを繰り返して、滑り台や鉄棒をして……時間を忘れ、無邪気に遊んだ。



「はぁ……遊んだ遊んだ」

「手が鉄くせ〜」

ほらっと手を私の鼻先に近づけてくる。



……大きな手のひら。

長く細く伸びた五本の指。



その手に更に鼻を近づけると香ってくる鉄の匂い。


「鉄棒の匂いだ」

「でしょ?きっと陽菜ちゃんの手も鉄棒の匂いするよ?」


なんて言われて、自分でも匂いを確かめてみるけど……確かに鉄棒の匂いがした。


「くさ!!」

「しょうがないでしょ(笑)鉄棒触ったんだし」

「う~ん……」