気持ちよさそう。
「何やってんの?早く来なよ」
ブランコに座り、準備万端な彼が子供のような純粋な笑顔でコチラを見る。
「はいはい」
あぁ、この空気いいな。
のんびりしてて、ゆったりして、心が落ち着く。
こんな空気いいな。
「じゃ、やろうか」
ギーコギーコと古くなったブランコを漕ぎ出す。
次第に加速する。
遠くまで飛んでいきそうな錯覚にすら陥る。
「よい………っしょ!」
足を高く振り上げ、靴を投げ飛ばす。
くるくると靴が回る……
が、高さだけで、飛距離が伸びない。
「あらら〜」
勢い衰える我がブランコを見て、まだまだだなっと鼻で笑うキミ。
笑われたことがムカついて早く飛ばしなよっと催促する。
「しょーがないなぁ……っしょ!!!!」
長い足を高く振り上げる。
ピューっときれいな放物線を描いて飛んでいく祐君の靴。
落ちた先は、私の靴よりもはるか遠くだった。
自分でも、こんなに飛ぶとは思っていなかったのか、祐君は目を大きく見開いた。
「これぞ、靴飛ばし王子の力」
「いやいや、さっき靴飛ばしキングって……」


