何時間振りかの、この景色。
今は、人も少なくなっていて、寒いのもマシになっていた。
コンビニを曲がり、駅に着くと、
またキミか、今から登校か?とでも言いたげに不思議そうな顔をする駅員さん。
その駅員さんの前を定期を通し改札を抜ける。
それから、駅の時刻表を見て、電車が来るまでまだ時間がたっぷりあることに気付く。
「やってしまった……」
だけど仕方ないし、ホームに設置された待合室の中へ入り、本を読んで時間を潰す。
結局、学校に着いたのは4時間目の終わりに近い時間だった。
教室に入るとみんなの視線は、頬に集中し、先生までもが
「大丈夫か」
と心配してきた。
おかげで、遅刻の理由は聞かれなかったけど。
那智は嬉しそうにコチラを振り向き、『遅い』と口だけを動かした。
「電車なくてね」と小さく、前にいる那智に話しかける。
那智はクククと笑いを噛み締めるようにすると、すぐに真面目な優等生に変わり、授業に集中した。
那智はよく、家が田舎なことを笑う。
そういえば、朝、霧が出ていたことを話すと、那智は大笑いしていた。


