だから、お姉ちゃんと買い物とか、凄く憧れてた。
お兄ちゃんと買い物はさすがにできなくて……。
「……わたしでよければ」
少し、涙声な恵さんの声。
「私、絶対赤ちゃんには“叔母さん”なんて呼ばせないから」
恵さんのお腹に向かって、
「“お姉ちゃん”って呼んでね。それから、一緒にお買い物に行こうねぇ。楽しみに待ってるから」
とお腹の中の赤ちゃんにも呼びかけて、
「学校行って来るから、また後で一杯話そうね」
と言ってカバンを持ち、階段を駆け下りた。
「いってらっしゃい」
お兄ちゃんの声と恵さんの声が揃って聞こえた。
その声は嬉しそうな声色で、私まで、嬉しく感じたんだ。
階段を下り、リビングに入ると、お母さんの姿を探す。
学校へ行くことを伝えたかったから。
「陽菜?」
キッチンの奥から、眉間にシワをよせるお母さん。
「なに、その格好……」
「何って、学校行ってくるんだよ、遅刻しちゃうけど、那智と約束したから」


