汚レ唄


「でも……、あのっ、その……」

と恵さんは、慌ててお兄ちゃんに助けを求めるように見るけど、鈍感なお兄ちゃんは、そんなの気付きはしない。


きっと、これからも苦労するよ、恵さん。




「昨日は、ひどいこと言ってごめんなさい。突然のことだったから、ビックリしちゃって、恵さんに当たっちゃいました。本当にごめんなさい」


おろおろとうろたえる恵さんの前で、90度よりも深く頭を下げ、謝罪する。


「いいの!!いいのよ、ほんとうに!!そんなに謝らないで」
と慌てて恵さんは言うけど、私、まだ謝りきれてないよ。




一番傷ついたのは……恵さんでしょ?




「わ、たし……知っての通り、兄妹って、こんなお兄ちゃんだけしかいないし」



この言葉に「なんだと?!」と批判の声を漏らすお兄ちゃんだけど、気にせず私は話を続ける。


「だから、小さい頃からずっとお姉さんが欲しかったんだ」


これは本当のこと。




お兄ちゃんに恋をする前も後でも。


もし、お姉ちゃんがいたらって、そんなこと考える時もあった。




「だから、だからね?
こんな私が妹でも良かったら、今度、買い物とか行きませんか?」