汚レ唄



その笑顔、大好きだよ。


ずっとずっと大好きだから。


勿論お兄ちゃんとして。




「昨日は……ひどいこと言ってごめんね」

「ん、気にしてないから」



嘘ばっかり。

気にしてるから、そんなに赤い目してんでしょ?


ほんと……
「嘘が下手だね。
お兄ちゃんは」



そう言うと、お兄ちゃんは決まって、イタズラに笑って、
「なんだそれ」
って髪をぐしゃぐしゃっとする。






そうだね。


結婚しても、何があっても、お兄ちゃんは変わることなく、私のお兄ちゃんだ。



だったら、結婚しても大丈夫だよ。



私は大丈夫だ。



「ねぇ、学校から帰ってきたら、恵さんに謝りたい。いいかな?」


恵さんにひどいことを言った。


謝りたい。



「恵?恵なら……さっきから、ここに」

お兄ちゃんの視線をたどると、ちょうど、こちらからは見えない位置で俯いて恵さんは立っていた。



「陽菜が謝りたいんだって」

お兄ちゃんが笑いながら、恵さんの背中を押して、部屋の中へと入れる。