「遅くなるならメールくらい入れなさいよ。なんのためのケータイなんだか」
「はーい」
いつものセリフにいつもの返事。
テレビに映るバラエティの笑い声にお父さんもお母さんも私でさえも反応して薄型テレビを再び見る。
「陸にもいつ帰ってくるのかってメール入れてるのに返事来ないし……。
はぁ~、本当にいつ帰ってくるんだか」
「お兄ちゃんなら、さっき一緒に帰ってきたよ?」
その言葉にお母さんはソファーから勢いよく立ち上がる。
「もっと早く教えてよ。晩御飯の支度しなくちゃ」
立ち上がると慌しくキッチンを行き来するお母さん。
そんなお母さんに
「はーい」
と返事をして再びテレビを見ていた。
お兄ちゃんはいつでも自分中心。
帰ってきたらまずは風呂!
帰ってきた時に誰かがお風呂に入っていたら、この上ないくらい機嫌が悪くなる。
風呂から出たら、次は飯!!
風呂上りにテーブルの上にご飯がなければ、この上ないくらい機嫌が悪くなる。
ご飯を食べれば、自分の部屋にこもる。
何があってもお兄ちゃんは我関せず、だけど俺中心生活なのだ。


