「仮に、もし、私があんたの立場で、実の兄を好きになったとしてよ?それをあんたに相談したら、あんたはなんて答えてる?」
そんなの、決まってるじゃん。
「……応援する」
那智のことを、力一杯応援するよ。
たとえ、他の人が反対しても。
「私だって同じだよ?
陽菜が私に相談してくれたら、私は絶対に応援する。陽菜の好きになった人だもん。私は、それが血の繋がった兄でも応援する」
「那智……」
「こんなに追い込まれてさ、ボロボロになって……、それでも1人で抱えてさ、馬鹿だよ。バカ陽菜」
ぶに~っと腫れてないほうのほっぺたを引っ張られる。
痛いのに、だけど、嬉しい。
「ごめんなひゃい」
それから、どちらともなくフッと笑った。
2人で涙を流して、2人で笑い合った。
那智、私、分かったことがあるよ。
悩みって、誰かに話すと、こんなにも気持ちが軽くなるんだね。
那智に話した途端、憂鬱だった気持ちが晴れ晴れとした気持ちに変わったんだ。
那智も一緒に泣いてくれて、私、嬉しかったんだ。


