汚レ唄



そのまま、数分から数十分の時間が過ぎた……と思う。



実際は時計見てないからはっきりとはわからないけれど。





静かな夜に、とけ合うように混じり合うTSUBASAの歌声。


那智の声が部屋に小さく響いた。



「起きてる?」

「うん……起きてる」

「陽菜ぁ?私さ、祐君みたいにさ、待ってるなんて優しいこと言えないからさ。
あんた、知ってるでしょ?私の性格。待つことは性に合わないって。
だから直球にきいてもいい?」

「……うん」



そうだよね。
那智に待つなんて言葉は似合わない。

そんな似合わないことをさせてしまっていたんだね。


「なにがあった?」

ごろんとコチラを向き、真っ直ぐに瞳を射抜くような光線を浴びてるよう。


「……うん。色々あったんだ」


本当、色々ね。

那智に話さなきゃいけないことが一杯あるんだ。


いつだって、那智は私の話を聞いてくれてたのにね。


肝心の秘密は話さないままいたんだよね。


ごめんね。

友達なのに。