「送ったよ。携帯ありがと」
みかんを受け取り、携帯を手渡す。
「どういたしまして♪さっ!はやく食べよ♪」
那智は自称みかん大好き娘。
自称だけあって、一体どこまでみかんが好きなのかって思ってたけど、
冬になるとお弁当と一緒にみかんを3つは持ってくるほどみかんが好きだ。
教室の中に充満するみかんの香り。
その香りを嗅ぐのも味覚と嗅覚の2つを楽しめて一石二鳥な気がして好きなんだと那智は自慢げに説明していたことがあったっけ。
「んー!!おーいしー♪」
みかんを幸せそうに食べる那智のそばで、携帯の着信を知らせる光が点滅した。
その光に気付くと、那智は片手にみかん、片手に携帯を持ってメールの中身を確認する。
それから、私の方を見ると、にこやかに笑って
「祐君から♪」
と手渡してくれた。
渡された携帯を見ると、メールの内容を見ていない状態で、
チラリと隣にいる那智に目をやると、
ニヤニヤと何かをたくらむように笑っている。


