汚レ唄



祐君のお父さんはかなりおもしろい。


一緒にいて飽きない人だと思う。



だから、隣に座る祐君を見てたらわかるよ。


祐君はお父さんのこと、大好きなんだね。




いつ見ても、お父さんを見つめるキミの瞳は笑ってる。


優しい眼差しで笑ってるからさ。





キミは、口では変な父親だとか言うけどさ、本当は好きなんだね。




「ふふふーんふふふふーん♪」


でも……鼻歌はわかんない。


誰の曲かと言われてもわかりません。




祐君と私は
「うーん」
と唸りながら、色んな曲を思い返していた。



だけど、どの曲もピンとこなかった。






「結構、有名な曲なんだけどな??わかんねぇか??」

はっはっはっはーとやっぱり笑いながら、お父さんはカーナビの近くについているボタンをカチッと押す。


その途端、流れてきた曲は私もよく知っているイントロだった。


お父さんはイントロから、すでに鼻歌を口ずさんでいた。



きっと、メロディ部分だけでなくギターの音やドラムの音も鼻歌で歌うから、なかなか私の知る曲と一致しなかったんだろう。