「いいからいいから。
どうせ、この後、面白いテレビ番組があるわけでもないし、おじさん暇なんだよ。
動いてないとなんか気持ちわりぃんだ」
「いや、でも~……」
ずいずいと寄ってくるお父さんの迫力に負けて、最終的に私は2人の優しさに甘えっぱなしになった。
こんなつもりじゃなかったんだけどなぁ。
ただ状況についていけないまま、気付けばぐいぐいと引っ張られ、車に乗せられていた。
車に揺られて20分が経過した頃だろうか?
祐君のお父さんは突然歌いだした。
いや、歌いだしたというより、鼻歌を歌いだした。
「ふんふふーん♪」
この時間帯、平日ってこともあってか車の数は少なかった。
スイスイ進む車に機嫌がいいのかな?
「おっと!!おじさん、歌歌ってたよ。はっはっは」
祐君のお父さんは声がかなり大きい。
近くにいるのに、10メートル離れた相手に向かって話しかけるように大きな声。
だからもちろん、鼻歌も大きい。
「じゃあ問題。この歌は誰の歌でしょう??」
突然のクイズ。
しかも鼻歌。


