そんな表情の理由もよくはわからないけれど、祐君のお母さんは、友達と旅行に出かけていて、今日は帰ってこないということを教えてくれた。
祐君のお母さん、ちょっと会ってみたかったのに残念。
祐君がどんな人の子供で、どんな生活をしているのか、ものすごく知りたかったのに、本当、残念。
そして、ハンバーグを一口サイズにわけ、口の中にいれた瞬間、なんともいえない美味しさが口の中一杯に広がった。
「おいしい」
それは自然にでた言葉だった。
ただ素直に美味しい。
お母さんの料理を褒めた途端、今度は上機嫌に笑い出すお父さん。
「もっともっと食べな」
とどんどんハンバーグを追加していく。
そして、いつの間にか、笑っていたはずの顔が、泣き顔へと変わり、
「早く帰ってきてくれ~!寂しいぞ」
と涙をたくさん流していた。


