「イヤイヤ!!でもさ、そこはぐっと我慢するのが大人でしょうがっ」
「はいはい。
もういいから。早く入っちゃって。お父さんお腹すいたからさ。お嬢さんも、はいったはいった」
祐君のお父さんは、楽しそうに鼻歌を歌うと部屋の中に入っていった。
開かれた扉の中には、明るい光と少し散らかったリビング。
それから、ご飯の並べられたテーブルに、イスに座っているお父さん。
コチラをじっと見ては『早く来いよな』と言いたげな表情を見せてくる。
「……まぁ、とにかく。そこ座って?」
「う……うん」
お父さんの真ん前に座ると、お父さんの視線をかなり感じる。
そぉーっと、お父さんを見ると、お父さんは嬉しそうに目を細めて、ニッコリと笑った。
そんなにお腹へってたんだ。
目の前には小さくて可愛い真ん丸なハンバーグが2つと、サラダ、お味噌汁が並べられていた。
「これ……全部、祐君が?」
エプロン姿だった祐君を思い出して、尋ねてみるが、祐君はニッコリと笑って、
「まさか」
と答えて、言葉を続けた。


