汚レ唄


「祐君って、お医者様みたい」

意外なほどに物知りだから、びっくりしちゃうよ。



でも、こうやって私が横になって、ベッドの傍で優しい笑顔浮かべて、傷について話す祐君は、本当にお医者様みたいに見えるよ。



「はいはい。
もう少し、寝てなさい。あと、それから今日はご飯食べていきなよ。
“傷を治す”には、ゆっくり休養を取ることなんだから」

「はーい」

それを言うなら“病気を治す”には、ゆっくり休養を取ることが、治療への近道。
でしょ?



あったかいベッドの中はキミの香りでいっぱいだよ。




祐君は、横になった私のおでこに大きな手をのせ、ペチペチと音を鳴らして遊びだした。



「……痛いよ」


「ははっ。
文句言わないの。
俺、一応、命の恩人だよ?」



俺って……

「一人称変わってるし」


「うん。実は、本当はいっつも俺って言ってるんだよね。



陽菜ちゃんは誤解してるみたいだけど、本当は全然優しくなんかないんだよ。

俺は……全部、自分がしたいからいしてただけ。

恩でも売って、あとで俺のものになればいいなって……そんな考えで動いてるだけだし。


陽菜ちゃんってさ、騙されすぎ(笑)」