汚レ唄



しっかり手当してくれてる。


これ、もしかして……






「手当てもしてくれて……ありがと」

私がそう言うと祐君は笑った。



「本当、びっくりしたよ。
陽菜ちゃん、いきなり倒れるんだもん。しかも手首から血がすっごい出てるしさ。
どうしようかと思った」


身振り手振りが混じって説明するキミが小さな子供のようで、おもしろくて、思わず笑いそうになっちゃった。


でも、よかった。




キミの笑顔を見たら、なんか安心した。


何も気にしてないよって言いたげに笑ってくれるから。


よかった。




君がいてくれて。






心配そうな顔をされたらどうしようかと思った。

それだけで罪悪感に駆られてしまう。

それだけで2人の距離が離れてしまいそうな気がした。




でも、キミはそれがわかってるかのように笑って、手首を切った理由を聞かないで、笑い事にしてくれる。



「だから、手首なんだけど、勝手に治療させて頂きましたよ、お姫様。

あと、だいぶ血が出てたから、今は貧血気味だと思うけど、鉄分とか食べて、血に変えたりしたら、貧血もなくなっていつも通りになると思うから。
大丈夫だよ」