「好きな人に好きな人がいる。
……そんなこと、誰だって経験することだよ」
私(+禁断)⇒お兄ちゃん⇔彼女
そうか。
私は変に考えすぎていたのかもしれない。
どう見ても、お邪魔虫は私じゃないか。
理想は
私⇔お兄ちゃん
になってほしいけれど、
お兄ちゃんの気持ちが彼女に向いていて、彼女の気持ちもお兄ちゃんに向いているなら、私は諦めなくちゃいけない。
お兄ちゃん⇔彼女
コレが1番いい形なんだ。
「自分の気持ちを見つめなおしてみなよ。
そしたら、きっと、キミは幸せになれるよ」
流れていた左手の血は止まり、暗闇が徐々に晴れて光が幾筋にも差し込んでくる。
光が差し込んでやっとわかった。
キミがかたくなに手首を掴んでいた理由が。
キミは知ってたんだね。
知ってて、教えてくれたんだね。
私とお兄ちゃんの間には大きな大きな穴があった。
深くて深くて、底の見えないほど大きな穴が。
あのまま、お兄ちゃんを追いかけてたら、確実に落ちてた。
こんな穴に落ちていたら、きっともう上がってこれなかっただろう。


