汚レ唄



呆然とお兄ちゃんと彼女を見つめる私に祐君が初めて口を開いた。


「……陽菜ちゃんは勘違いしてる」

「………何が?」


無意識に祐君を睨んでしまう。

私は幸せなはずだった。

昔のように一緒に遊んで。

幸せだったはずなのに。







あの人が現れてから人生が狂いだしたんだ。



「陽菜ちゃんは特別なんかじゃない」

「どういうこと?」

「単純なことだよ。

“好きな人に好きな人がいた”

それだけのことなんだよ」

「……」


「それだけのことに“血の繋がり”とか“兄”とか加えて考えるから、難しくなっていくんだよ」



好きな人に好きな人がいた。

それだけのこと。




私⇒お兄ちゃん⇔彼女


単純なこと。