お兄ちゃんの背中が小さくなっていく。
どんどん私から離れていく。
……私はまたひとりぼっち。
背後から暗闇が攻めてくる気配を感じる。
いやだ。
いやだよ。
ずっと一緒にいようよ。
一緒がいいよ。
「待って!まっ……」
そんな迫りくる恐怖の中、ポンと肩を軽く叩かれた。
振り返ればそこにはあったかいキミがいた。
「祐君……」
キミもお兄ちゃんと一緒。
寂しそうににっこりと笑って左手をギュッと掴んでくる。
……なんでみんなそんな笑顔をするの?
笑顔の理由が知りたいけど、そんな間にもお兄ちゃんはどんどん離れていってしまう。
「……っ祐君!!はなして!!!お兄ちゃんが行っちゃう!!!お兄ちゃんが……」
掴まれた左手が痛い。
左手に目を移すと、血が……
血がボトボトと流れ落ちてて、祐君の手の平も指も赤で染めていった。
「っ離して!!お兄ちゃんがいっちゃうのっ!!!」
だけど、キミは手首をギュッと掴んだまま離す気配もなく、切なげに首を左右にふるばかり。


