その隣では那智も
「……やばい、私感動しちゃった」
と軽く涙目になっており、私の隣に座る祐君はただ私をじっと見ていた。
「大袈裟だよ〜。後でTSUBASAの歌聴いてみなよ。似てないからさ」
こういう時はなんだか雰囲気で似てるなって思ってしまうもんなんだって。
家帰って聴いてみたら、やっぱ似てね―じゃんって思うよ?きっと……
「もっとTSUBASAの歌聴きてぇ!!」
大輔君はそう叫ぶとTSUBASAの曲を全曲入れだした。
「ちょっ!大輔君?!」
私の声も聞かずどんどんどんどん曲を入れていく。
「TSUBASA……歌ってよ」
目の淵から零れ落ちる涙を指ですくいながら、那智がテーブルの上に置いたマイクを私に手渡してきた。
「那智?!私、TSUBASAじゃないし!!
……って、ちょっと大輔君?!そんなに歌えないし」
結局その後、1時間の延長をして、その間ずっと私だけが歌って、他の3人は目を閉じてただただ聴いていた。
ワンマンライブ状態。
大輔君と那智に解放された時には、私の声は掠れていて、TSUBASAの声とは似つかないものになった。


