「本当はね、“陽菜ちゃんが笑っていられますように”ってお願いしたかったんだけど……
なんだか押し付けがましいような気がして、みんなが笑っていられるように世界平和をお願いしたんだ」
何だろう、この気持ちは。
あんなに境界線を引こうとしてたのに。
危険人物だから、1歩引こうって思ってたはずなのに。
優しい優しいオーラに包み込まれて心の奥から暖まる。
……この人に心を許しかけてる。
奥に踏み込まれてめちゃくちゃにされるかもしれないのに、それでもいいって思ってる私がいる。
“良い人過ぎるから苦手”
だと思った。
だけど、それは
“良い人過ぎて心を許してしまうかもしれないから苦手”
だったのかもしれない。
今まで、私の心の中にいたのはお兄ちゃんだけだった。
だけど、他の人をいれてもいいと思ってしまうと感じたのかもしれない。
影は光になれない。
それはわかってる。
だけど
なれないものだからこそ憧れてしまうのかもしれない。
内に入るのを許してしまうのかもしれない。


