汚レ唄



沈黙……。


この沈黙が辛い。


だけど、私の気持ちを知ってなのか……
この沈黙を破ってくれるのはいつもキミだったよね。




「ねぇ、陽菜ちゃん」

「……な、なに?」



彼は……祐君はただ真っ直ぐ空を見上げてブランコに揺られていた。


「僕、流れ星見たって言ったよね?」

「うん」




さっきの男が誰なのか。

手首を痛がった理由とか

そんなことを聞かれると思ってた。




だけど、何も聞かない。

いつも、何も聞いてこない。



それが彼の優しさで、その優しさに私はいつも甘えてるだけ。





「流れ終わってからだったけど、何をお願いしたか教えてあげようか」

にっこり微笑むキミの瞳に、私は今映ってる。


「……うん」

「僕がお願いしたのはね、“世界平和”」

その言葉で俯きかけてた顔を祐君へと向ける。

「……せ…“世界平和”??」

「そう。世界平和」

祐君はにっこり笑って、また空を見上げた。