汚レ唄



「痛い痛い!!痛い!!離してよ」


本気で痛いから!!ジャスト傷口だから!!!


「っちょっと!!とにかく離してあげてください!!」


必死に私を守ろうとしてくれる祐君の背中が、もの凄く大きく見えた。



その時、
「陽菜??どうしたの」

「……と祐?なんで??」



声をかけてくれたのは那智と大輔君だった。



2人の姿を見た男は
「はぁ〜……俺、もう帰るわ。またね。陽菜ちゃん」
と大きな溜息を吐くとそのままどこかへ行ってしまった。




男がいなくなると、今度は那智と大輔君が傍までやってきた。


最悪だ。


那智には今まで、黙っていたのに。


嫌われたくないから……
こんなことしてるなんて言いたくなかったのに。


こんな場面見られたら、全てばれてしまう。


私の汚いところ全部那智にも祐君にも見られてしまう。


私から離れて行っちゃう……。




嫌われる覚悟が出来なくて、涙がこみ上げてきて……

だけど、皆の前で泣きたくなくて、俯いていることしか出来なかった。