「雅哉くんから聞いてたんだよ。可愛い女の子が傘を返しに来るって」 にっこりと微笑むマスターの言葉に顔を赤らめる。 「かっ、可愛い!?」 「うん。雅哉くんは、はっきりそう言ってたよ」 雅哉さんが可愛いと言ってくれてた事を知り、恥ずかしくなる。 だって、お世辞なんて本人の前でだけ言ってればいいだけで、他人の前で言う必要はない。 本当に可愛いって思っててくれてるのかな。なんて、都合のいい解釈をしてしまう。 私は早くなった脈を抑えるために、ティーカップに残っていたコーヒーを口に流し込んだ。