もしも愛が嘘ならば



優しい瞳を向ける彼女は、見た目からして若い。


それどころか、童顔でわたしより若く見える。



『桃野 愛、23歳。彼氏なし。んーでも、婚約者がいるの』


「こ、婚約者っ…」


突然の自己紹介。


それよりも、なによりも。

婚約者発言に驚いた。



『黒猫みたいな、人』


「く、黒猫?」


『そう』


涙の後は、変な汗が流れ始める。