「…ん……っ…」 重なった唇は、簡単には離れなくて。 ――…先生。 このキスは貴方からしたんだよ。 甘くはなくて。ただ苦いだけ。 そんなキスも、今のわたしには丁度良かった。 『お前はなにをして欲しい?』 綺麗な瞳がわたしをとらえて。 死ぬ前に、少し遊んでみたかっただけ。 そう。それだけ。 「…助けて、ほしい」 小さく呟いた言葉は、 意思とは正反対の言葉だった。