あたしと彼氏の身長差、約十五センチ。





並ぶと大体、額のあたりに彼氏の唇がくる。
 


時折、十五センチがもどかしい。と思うことがある。
 



すごく近くに、手を伸ばすと届く距離にあるのに、届きそうで届かない彼氏の唇。




ちょっと……と彼氏の袖をぐいっと引っ張りながら、あたしは十五センチの身長差を埋めるため、精一杯背伸びをした。





いつも額の位置にあった彼の唇に、あたしの唇が触れる。


「やっと届いた」



かかとをつけて言ったあたしの前で、彼氏は顔を真っ赤にしながらはにかんでいた。



【完】