ぱらぱら降り出した雨が、次第に雨脚を早めていく中、私は教室の一角から外を見つめていた。

いつからだろう。




「熊谷は雨女」

そう言われ出したのは……。

今日は待ちに待った体育の日。それなのに、大切なときに限って雨が降る。


それは私が《雨女》だから。

教室で待機していると、

楽しみにしてたのに、雨降るなんて最悪」



クラスメートの発言に、ちくりと胸が痛んだ。

小学校の頃から何かしらイベントがあると、いつも決まって雨が降っていた。

偶然だと思いたかったが、過去に一度、私が参加できなかった行事があって、確か……文化祭だったと思う。

そのとき雨は降らなくて、次の行事に参加したら雨が降った。

それで確信した。


――私が関わると雨が降る、ってね。


でも、本人が気づく前にクラスメートや他の子は気づいたみたいで、


「熊谷がいると雨が降る」、「熊谷は雨女だ」と、陰で言っていた。


偶然の重なりで、降っているだけ。



考えすぎだと思うかも知れないけど、現にこうして雨が降っているのだ。


しかも今日の降水確率は0%。雨が降るはずないのに、降っているということは、認めざるを得ない。