「ど、どうしたの?」


「あー…数学の教科書貸して。忘れた」


「教科書?ちょっと待ってて」


悠希でも忘れることあるんだー。

なんかうれしいな♪


「はい、返すの今日じゃなくてもいいよ」


「分かった。じゃ」


「あっ…!」


受けとってすぐ帰ろうとする悠希の制服の裾を、思わず握ってしまった。


「ん?」


ど、どうしよう!

用事もないのに、体が勝手に動いちゃった。


「……これから大会まで休みなしだって」


「え?…あ、そうなんだ」


もう少しだけ側にいたいって気持ちが、悠希にも伝わったのかな?

何気ない話がすごくうれしい。


……って、え!?


「それってやっぱりクリスマスも?」