いのり



気づいたら車は停車していた。

本部を出てから、2、3時間はたっただろうか。

すっかり眠ってしまっていた。


「お疲れ様です」


ごつい男に車のドアを開けられ、
コンクリートに足をつく。

軽く伸びをして、目の前にある高層マンションを頂上まで見上げた。


このマンションのどこかに

今回のターゲットは住んでいる。


与えられた部屋の鍵には、「1104」と書かれていた。

同じBTTのミカは、1018号室にいるという。


ミカはあたしの部屋の前に立っていた。

そして黙って深く頭を下げた。


「ミカと言います。よろしくおねがいします、SARA」


顔を上げてニッコリ笑い、
ミカはその場を立ち去った。