いのり



「あ、そうだ、名前は?」

『前に言いましたよ?』


「そうだっけ?」

『はい…。』


「…そっか。
ごめん、失礼なこと言って。もう一回教えてくれんかな」

『野崎沙羅です』


「野崎さんね。俺、芳田晴貴な」

『知ってますよ』

「え?!」


「おかしいなあ」なんて言いながら、
彼は頭をかいて苦笑いをした。


「晴貴とか、ハルでいいよ。地元の友達とか、みんなハルやし」

『あ…はい』

「敬語とかほんまいらんから!俺そーゆーのめっちゃ苦手!」

『すいません!あ、じゃなくて、ごめん…なさい?』


ハルはまたおなかを抱えて笑った。


「ほんっまおもろい!」


涙目にしてまで笑うことかな?

むかつくくらいよく笑うなあ、こいつ。