いのり




――目が覚めて時計を見ると、もう昼の11時を回っていた。


まだ疲れが取れていないからだろうか。
昨日よりも体がだいぶ重い。

その重い体をなんとか起こし、
冷蔵庫の水を手に取る。

同時に、レモンのはちみつ漬けが目に入った。

朝ごはんは食べないつもりだったが、
ラップをはがしてレモンを一切れつまみ、
口に放り投げた。

甘酸っぱい不思議な味に目を細めてから、
水を一気に飲みほす。


『返しに行こう』


赤いお弁当箱を手に持って、そう一言つぶやいた。


顔を洗い、歯を磨き、
クローゼットの中から適当に出してきた洋服に着替える。

髪は面倒くさいのでピンでひとつにまとめ、
軽く化粧をした。

最後にまたコロンを吹きかけ、

お弁当箱を持って部屋を出る。