帽子を深くかぶり、 エントランスで紙に書かれている部屋番号を入力する。 《はい》 聞こえてきたのは、 男の低い声。 『こんばんは、○○宅急便です。 速達でお荷物をお届けに参りましたー!』 《……どうぞ》 その言葉と同時に、 マンション入り口の自動ドアが開かれた。 男の声は、あきらかにこちらを警戒しているようだ。 エレベーターで8階まで上がり、 裏切り者の部屋を探す。 『見っけ』 もう一度深く帽子をかぶりなおし、 チャイムのボタンに触れた。 ピンポーン ゲーム、スタートだ。