いのり



『“やり方”は?』

「とりあえずこれに着替えてください。それから話します」


そう言ってRから渡されたのは、郵便配達員の制服。


『…仮装か』


よく見ると、Rとミカはすでに仮装していた。


あたしはカーテンが閉められた後部座席で、
急いで制服に着替えた。


この車を5kmほど先の空き地まで走らせて、
あらかじめ空き地に用意しておいた配達用の車に乗り換え、
再びマンションに向かい
配達員の格好をしたあたしが部屋に乗り込む。


ありきたりな“やり方”だった。



空き地に着くと、
車の横にBTTのメンバーが立っていた。

あたし達はワゴン者を降り、
新しい車に乗り換えた。

車内には監視用テレビ、
盗聴用のスピーカーがすでに完備してある。

すべてミカが操作するらしい。


そして再びマンションの入り口に着いた。

髪をしばり、
めがねをかけてポケットに“道具”を忍ばせた。


『行ってくる』

「気をつけてくださいね」


あたしは小包を持ち、車を降りた。