いのり



次の日目が覚めた時はもうお昼時で、

慌ててベッドから飛び起き、携帯を見た。


「Kに連絡してください」というミカの留守録を確認し、
あたしはすぐにKに電話をした。


『SARAです。ごめんなさい、K』


《マンション全体を管理している“橋本”から連絡が入った》


橋本は最近このマンションの管理人となった、
BTTのメンバーでもある。


《ターゲットの組織がこのマンションを嗅ぎ回っているようだ》


『…こんなに早く?』


《おそらくBTTの誰かが、むこうのモグラだったようだな。
だいたい誰だかは見当がついている》


《所在がはっきりしたらまた連絡する。お前が殺せ》

『…わかりました』

《俺が連絡するまで、一歩も部屋から出るな。物音ひとつたてるんじゃないぞ》


電話を切ったあと、Kの話し方ひとつで、
今回の計画がどれだけ慎重で手強いものかを理解した。


あんな人間
一人殺すだけのために。