愛の奇跡。


どんだけ揺さぶっても、名前を呼んでも…もう直樹の瞳が開く事はなかった。


握ってた手が確実に冷たくなっていく。



「直樹…っ直樹…っ…なお…き……っ!!」



名前を呟くそばから…涙が溢れてくる。



「やだ…やだよ、置いて…かないでよ…っ!私は…っどうしたらいい、の…!直樹…っ!!」



冷たくなっていく体にしがみついて、泣いた。


何度も私を抱き締めてくれた体。


いつも温かさをくれた手のひら。


優しい言葉をくれた声。


全部…愛しかった。


でもどんなに望んでも、もう戻らなくて。