「のぞみ…一緒に逃げよう?」



私の涙が止まった頃、直樹の優しい声がした。


何言ってんの!?


慌てて直樹の胸から顔を上げる。


直樹は真剣な瞳だった。



「のぞみは…一人で逃げるつもりでしょ?」



…よく解ってるね、直樹。


私を受け止めてくれて嬉しかったけど、傍に居たら直樹に迷惑がかかる…そう思って。


この後一人で逃げるつもりだった。



「嫌だよ、そんなの。僕も一緒に行く。」



「何言ってんの!仕事とか家族とか友達とか…」



「のぞみが大事!!」