カタッ……



「誰だ!」

背後に人の気配?
平助君の声と同時に私たち二人も後ろを振り返った。

真っ暗な廊下の奥から微かに聞こえる足音。
一人、二人のレベルじゃない!!

「やべぇ、どうする?総司。挟みうちにされたら、逃げるにも逃げられないぜ」

十人、ううん。二十はいるかも……それにみんな動きがおかしい。何かに操られているような──

「逃げられないのであれば闘うしかないんじゃない」

「……だよな」

「千鶴ちゃんは僕たちから絶対に離れないように」

「はいっ」



これが学園長の言っていた、吸血鬼事件の正体。

血に飢えた蝋人形が私たちに襲い掛かる。


「これじゃキリがないぜ、こいつら倒しても倒しても起き上がってきやがる」

「こうなったら……最後の手段だね。できれば使いたくなかったんだけど」

「最後の手段?」

「そっ、『逃げる』」



お、沖田……さん?



私は沖田さんの差し出された左手にしっかりとつかまった。