間愛のつめかた

「おつるぎの方様、いったいどのくらいの期間、料理の腕前を磨かれたんです?」

しばらく息をのんで手もとの料理に目を向けていた隼人が、細い目を見張ってたずねて、

「えっと、お料理の練習をしたのは三日くらいです」

留玖がはにかむように笑んでそう答えた。

「三日で!? これ、誰かに手伝ってもらいました?」

「いえ。今日は私が一人で作りましたけど」

「あ……有り得ねー」

驚愕の表情で隼人が絶句する。

「姉上は天才ですね」

冬馬がうなり、

「お見事な腕前、感服でござります」

帯刀がなにやら礼をして、

「こいつは立派な料亭のお座敷で出せるよ。大したモンじゃないかえ」

与一が感心した様子でため息をもらした。

「ええ? そんな……」

留玖はほっぺたを押さえて、ニコニコと嬉しそうに笑みを作った。

照れる姿もかわいい。




「これは……」

ずっと押し黙っていた歯痛の家老が、覆面の下からボソリとつぶやいた。

「……信じられん。
まさか、このようにまともなものが出てくるとは──予想外だ」

オイ!

なんだそのセリフは。
聞き捨てならねーぞ。